時間は逆行するのか? ~ 時間は、流れてなどいない。(6)

モーガン・フリーマンが語る宇宙 S6 時間は逆行するのか? (ディスカバリーチャンネル)

Time-Machine

私たちは空間を自由に移動できるが、時の流れの中にとらわれている。しかしアインシュタインによれば、過去や現在、未来といった区別は幻想にすぎない。いつか科学技術が進歩したら、時間を巻き戻すことができるようになるだろうか。物理法則では、過去の自分を訪ねたり話しかけたりすることは可能であるものの、すでに起きた歴史を変えることは不可能だというが…


番組を見ていて思ったのですが、物理学者達は4次元の時空では過去と現在と未来が同時に存在しており、時間の流れなどは幻想に過ぎないと口では言うのだが、それがどういう事なのか実際には理解していないのではないか。時空というものが実際に存在するのであれば、時間が逆行するとか未来が過去に影響を与えるとか、そういう考えは全く意味を成さないはずだが、口で言っている理屈とは裏腹に、時間の流れという考えに支配されてしまっていると思います。

「時間は逆行するのか?」と考えること自体が間違っているのです。
アインシュタインの時空の概念によれば、過去と現在と未来は同時に存在している。そして、だから、過去と未来の時間の隔たりは、空間での距離の隔たりと同様と考えられる。
その「過去と未来」という言葉が問題なのですが、例えて言うなら10年前の過去と言うのは、現在から10光年の距離だけ離れた時空の一地点であるという事なのです。地球から10光年離れた場所にある星と同じような概念です。

考え違いはここから始まるのですが、夜空の星の光を見る時、10光年の彼方にある星の光は10年前に発せられた光が今地球に届いているのだから、それは10年前の過去の星の姿を見ていると言うことです。過去の世界が今そこに存在するかのように見えているのですが、時空に過去と未来が同時に存在するという考えをこのイメージで考えてしまうことが間違いなのです。

時空に存在する10年前の過去とは、この世界の10年前の現象がそこに存在しているのではなくて、時間的に10年離れた別の世界、別の場所が存在しているという事なのです。仮にタイムマシンでその時空に行くことができたとしても、そこはこの世界の10年前の過去の世界では無い。

空間的に考えたらこういう事です。

私がここから1km離れたある場所に行って、それからまたここに戻ってくるとする。空間的には同じ場所に戻ってきますが、時間が経過しているので、もちろん私が過去の自分に会うことは無い。

私が今から1時間後にタイムマシンを使って1時間過去に戻るとする。時間的には同じ場所に戻れたとしても、空間の方が移動しているので、私は過去の自分に会うことが出来ない。

それでは、過去の私はいったい時空のどこに存在するのか、それが問題です。
そしてその答えは最初から分かっています。過去の時空に過去の私など存在しない。この世界の過去や未来が連写した写真のように時空のどこかに存在すると考えること、それ自体が時間に対する幻想です。

夜空の星は、過去の世界がそこに存在するかのように見えているけれども、それは過去の時空などでは無い。それは宇宙空間に光で記録されたビデオ映像なのです。

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時間は逆行するのか? ~ 時間は、流れてなどいない。(6) への3件のフィードバック

  1. Hollow Man より:

    一般的な時間の概念を真っ向から否定しているかのような訳の分からない話に聞こえるかも知れませんが、そんなに奇妙な考えを言っているとは思いません。

    たとえばこの3次元の宇宙に同じ場所が2つ存在するという事は無いでしょう。そんな風に空間が重複して存在する奇妙な状態を想定する理由がありません。

    2次元の平面上の1箇所をA地点とする。それを3次元の空間に拡張して考えてもA地点はその空間の中の1点である。3次元空間になったからと言ってA地点が線や塊に拡張されるわけではない。そう考える必要がない。4次元や5次元に拡張したってそれは同じです。

    時空の中に時間の異なる同じ場所を思い描くことは可能ですが、何故あえてそんな不自然な状況を想定するのでしょうか。4次元の時空は、この世界が時間方向に膨張した塊のようなものであると考える理由が無い※のに、その塊をナイフで切った断面がこの世界であると考える方がおかしいのです。

    3次元の世界が4次元世界の断面とか影であると言える証拠は無い。そう考えるべき理由は何も無いでしょう。

    ※注)時間は幻想に過ぎないと言っていながら過去や未来が物理的に存在すると考えるところがおかしい。

  2. Hollow Man より:

    過去・現在・未来と言う言葉は、自分のあるいはこの世界の時間という意味を含んでおり、それは科学者であっても同じ認識だということなのでしょう。

    時空に過去~未来の一瞬一瞬の時間の宇宙と世界と自分が無数に近接して重なって存在していると考えてみて下さい。その質量・エネルギーは無限大のものになってしまい、その重力で時空が崩壊する(※)ことでしょう。本当に真剣に考えてみるとそんな時空が存在するという考えは馬鹿げています。

    この宇宙の過去・未来は、時空に物質として存在するのではなくて、質量の無い情報や確率として存在していると私は考えます。

    ※巨大な質量が空間を歪めて時間を遅らせることから、過去・未来の間でも重力は作用すると推測する。

  3. Hollow Man より:

    と言うことは、時空という概念は数学的なモデルであって、実際の物理では無いということになります。あるいは、情報・確率というのが第4の次元に関係しているが、それが時間としてモデル化されている。

    時空に無限大の質量など存在するわけがない。そんな風に考え続けてみると、時間のみでなく物質やエネルギーと言うのも幻想なのではないかと思えてくる。過去も現在も未来も、この世界にあるのは情報のみではないのか?大きさも質量もない情報であれば時空に無限に存在しうるだろう。

    時空に過去・現在・未来の全てが情報として存在していると言うなら、それはこの世界がその記録の再生画像、映画のスクリーン上の世界であるという事になりはしないか?

    映画が先に進んでいようが逆回転で前に戻っていようが止まっていようが、映画の中の登場人物には分からないことです。撮影された時の時間がフィルムの中に固定されているのだから。

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