運命について考える(5)

運命について考えていたら、未来も過去も存在しないという予想外の展開になりました。

自分が生きて見ているこの世界は、過去から未来に渡る時空間の現在の断面であり、スクリーンに投影された映画のようなものと思われるが、スクリーン上には現在の映像しか存在しないのです。未来が存在しないだけでなく過去も存在しないのです。

未来が確率であり未確定であることは理解できるとして、確定済みの過去さえも存在しないとはどういう事でしょうか。過去が存在しないだって?

未来に起きる事象は、確率で表現されるが、それが現在になって確定した途端に確率は消滅する。その消滅した確率は、ただ消えてしまうのかと言うとそうではなくて、事象が記録されると確率が情報(データ)に変換されるのだと考えられる。過去の出来事は、人の記憶や、写真、文書、動画、楽譜、絵画、化石などの記録になってその情報の一部が保存されるが、大部分は、誰にも記憶されずにただ消滅する。そしてたまたま記録された過去の出来事は、記録媒体とともに未来に、現在に移動する。結果として、過去の記録は、それが存在するならば、過去ではなく現在に存在する。どんな太古の記録であれ、過去ではなく現在にのみそれが存在する。

時空間にまたがる金太郎飴のごとき物質は存在しないのだから、何か現在に存在する物質に記録されない限り、過去の情報は全て消滅する。単純に言えば、時空間にこの世界の過去というのは存在しないのです。過去は、現在の私たちの再生可能な記憶・記録として存在するだけです。

現在も過去と同じです。未来の確率が消滅してデータに変わる時、誰かがそれを観察して記録しなければ、現在にならずに消滅するだけです。いくらかの情報は物質に記録されるでしょうが、殆どの情報は消滅します。しかし、未来の確率が毎秒毎に情報に変換されるので、この世界は、常に情報の入力過多であり、むしろ努力して捨てていかないと記録媒体が不足してしまうでしょう。

この世界の情報の殆どが消滅してしまうのは何故か?

確率が情報に変換される過程において、エネルギーの放出は観測されない。だから、確率の全てを情報に変換することは物理的に可能なはずです。実際にそれが起きているでしょう。しかし、その情報を物質に記録する際には、エネルギーが必要なのです。誰かが何かがそのエネルギーを供給してくれなければ、発生した情報は記録されません。

この事を考えると、ブラックホールに宇宙の全ての事象が記録されているという説も、あながち荒唐無稽と言えないのではと思います。膨大なエネルギーを持っている天体であれば、自然に膨大な情報を記録している可能性があると思います。

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運命について考える(5) への2件のフィードバック

  1. Hollow Man より:

    「確率が情報に変換される過程において、エネルギーの放出は観測されない。」 つまり熱を出したり光を出したりしないって事だけど、逆はどうなんだろうか? もしも、確率が情報に変化する時に何かのエネルギーを消費しているとしたら、いずれ時間は停止するって事になる。(宇宙のエネルギーを使い果たしてしまったらという事)

  2. ピンバック: 時間は、流れてなどいない。(6) | Hollow Man – 神なき時代の「人生の目的」

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